クラブこけしにこっそりと遊びに来る小さなこけし娘がいる。
オーナーの愛人経営のモデル事務所の娘であるが、その小さな体を生かし、
店に忍び込んでは、覗き見的にこけし観察をするのが彼女の楽しみであった。
娘の名は“レインボー”。カラフルな裾模様をした彼女の特技は、虹を出現させるという特殊なものであるが、
主には覗き見が見つかった際、逃走用の目くらましとして用いている。
その日もレインボーはクラブこけしの個性的な娘達を覗き見て回ってはご満悦であった。
そして、なんとなく小腹の空いた彼女は、お店の冷蔵庫をこれまたこっそり覗いていた。
「わお!さくらんぼだ。ちょっともらっちゃお。」
そうしてさくらんぼを頬ばっていたところに、クラブこけしの“さくらんぼっ娘”(第31話)がやってきた。
「ふんふ~ん♪さくらんぼは冷えたかな~って、あんた!レインボーじゃない!?」
元々はモデル事務所のさくらんぼっ娘はレインボーを見知っていたのである。
「しまった!見つかった!!それっレインボー!!」そう叫ぶと彼女はきれいな虹を出現させた。
思わずうっとりと虹に見とれてしまい、レインボーを見失うさくらんぼっ娘。
「くぅ、見逃した。あいつの覗き見癖と盗み癖は相変わらずね。くっそー。さくらんぼちょっと食べられたわ。」
レインボーとさくらんぼっ娘
「まだあんたの頭の上にまだいるわよ。」
声をかけたのは、ベビーフェイスの割に店では随一の硬派で通っている“たこ少女”(10話31話)だった。
「え!?あ、ホントだ。ありがとうたこ姉さん。今度は逃がさないわよ。」
「くっ、ばれたか。じゃあみんなまとめて目くらましよ!それっレインボー!!」
再び現れた虹の美しさに、またしても見とれてしまうさくらんぼっ娘。
そうして逃げだそうとするレインボーだが、たこ少女にむんずと掴まれてしまう。
「わわわっ!!なんであなた虹に気をとられないのよ!」
「お生憎様、あたいはそんなにウブじゃないのよ。」
「くぅ・・・少女とか言ってるくせにスレた女ね。」
じたばたするレインボーを前に、正気に戻ったさくらんぼっ娘とたこ少女が話し合う。
「たこ姉さん、こいつどうします。ちょっとキツく絞めときましょうよ。」
「そうねぇ、あたいのことをスレた女と言うような奴は、たこ少女だけに・・・たこ殴りね。」
「た、た、たこ殴り!!!」そう言うと白目をむき気絶するレインボーであった。
「あら、ちょっと脅しすぎたかしら。」
「いいんですよたこ姉さん、こいつの変な覗き趣味にはいいお灸ですよ。」
モデル事務所に丁寧に送り返され、そこで目を覚ましたレインボーであったが、
たこ少女のたこ殴り発言には痛く肝を冷やしたようで、覗き見は少し控えているという。
つづく
レインボー
○渾名:レインボー(作並系)
○工人:平賀輝幸
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もっている中で最少サイズ(2寸)のこけしで、それだけになんだかすばしっこいイメージです。
裾のカラフルなレインボーラインは色を混色して出しているとのことでした。
顔もカニも可愛くしっかり描けており、工人の筆のブレなさをつくづく凄いと思います。
ちなみに“たこ殴り”の語源は、漫画表現でポカポカ殴る時、
沢山の手が描かれたことから付いた言い回しだそうです。