クラブこけしでは、もっふんママとチーママ(5話10話56話ほか)が話をしていた。
「ねえチーママ、前から手のかからない有能なスタッフがほしいって言っていたもふね。」
「ええ、まあ。ちょっとみんなの引き締めになるような娘がいてくれればと。」
「なんか、オーナーが頑張って、どえらいのと話を付けてきたのよ。これから面接付き合ってほしいもふ。」
「はい、いいですけど。」とチーママが言うと、丁度1人のこけし娘がお店に入ってきた。
ひで子とチーママ
「失礼いたします。本日面接に来ました“ひで子”です。よろしくお願いいたします!」
その娘を見たチーママは度肝を抜かれていた。その娘は名門の盛家の者であることは、
まつ毛のかわいらしい顔立ちや体型、また胴の達磨から一目瞭然であった。
才能もあり、器量も良いという、こけし水商売界のスーパースター的娘である。
「マ、ママ、凄い娘が来ましたね。有能な娘がほしいとは言ったけど、部下として扱えるかしら・・・。」
「もふーぅ。ひで子ちゃん・・・でいいかしら?家は給料も安いけど良いのかしら?」
「はい!働くのが好きなので!それにここはとても良いお店だと噂なので、働けるならこちらが感謝です!」
もっふんママとチーママがヒソヒソ話を始めた。
(ママ、思ったより色がついて無くて、素直そうな娘ですね。名門を鼻にかけるでもなく。)
(まだ分からないもふよ。すごくプライドの高い娘かもしれないもふ。)
そう言うともっふんママはナオシ(25話34話64話ほか)を呼びつけた。
(ちょっとナオシ、この娘に先輩風を吹かすもふよ。)
そう言われ、わかったとナオシはうなずき、ひで子に言うのであった。
「ふーぅ、今日は疲れたわぁ。おう、新入りか!ちょっと肩を揉め!」
「はい!先輩!」そう言うとひで子はニッコリとして、絶妙なマッサージをナオシに施した。
「おおお!何これ!超極楽なんですけど!よし、今日からお前を一番弟子にしてあげるわ!!」
「いい加減やりすぎもふ。ひで子ちゃんに失礼な。」そう言いナオシをつねり上げるもっふんママであった。
「イタイイタイ!ちくしょう、やれって言ったのに!」
「ひで子ちゃん、採用もふよ!あなたは良い娘だわ。チーママの助けになるよう頑張るもふ!」
「はい!もっふんママ、チーママ、よろしくお願いいたします。」
それからというもの、ひで子は名門の名に恥じぬ活躍で、新人ながらもチーママをサポートしている。
有能なひで子と、睨みを利かす達磨のセットからはカリスマ的なオーラすら漂っている。
時折、懲りずに先輩風を吹かせに行くナオシにも、ひで子はおおらかに接しているのだが、
一方、ものすごく達磨が睨みつけてくるので、
「なんだかずるいわこれ!」とナオシはブスブス言っているのであった。
つづく
ひで子
○渾名:ひで子(津軽系)
○工人:盛秀太郎
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kokeshi book(cochae著)の表紙で、なんだこの可愛らしいこけしは!
と思ってから約1年半。とうとう盛秀太郎型こけしの登場となりました。
盛秀太郎工人の古い少し泥くさいタイプのものよりも、
このまつ毛タイプのこけしの方が私は好みです。
可愛らしいのですが、すごいオーラが出ています。