クラブこけしのオーナーの愛人は、近所でモデル事務所を経営しており、
そんな縁により、所属のモデル(こけし娘)達は、クラブこけしによく遊びにやってくる。
モデルと言うだけあり、そこの娘達は、スタイルの良い者、おしゃれな者、エキセントリックな者等、
いずれにしろ、各自そのスタイリッシュさには自分なりのこだわりを持っている者が多い。
その日、初めて遊びに来たのは、“ししおどり”と呼ばれている、小柄で黒目がちなこけし娘であった。
胴模様には、角の長い面を付け、太鼓を持った、花巻のお祭り『鹿踊(ししおどり)』姿があしらわれている。
可愛らしい娘が来たものだと思いやってきたのは、クラブこけし所属のリボンであった。(第23話
ししおどりとリボン
「こんにちは。はじめまして、私、リボンです。素敵なお衣装ね。」
「えへへ、どうもありがとう。力強い感じが気に入っているの。」
雑談を始めた二人であるが、その間、リボンは何やら違和感をずっと感じており、
少しして、その理由にはっと気が付くのであった。
「ししおどりちゃん!!もしかしてその鹿踊の模様は肩ひも長めのオーバーオールなの?!」
「うん。そうだよ。このおししの角が肩ひもの部分を兼ねているの。」
「じゃあ何、裸にオーバーオールで、その肩ひもだけででお乳を隠しているの?!エロすぎよ!!」
「えへへ、私小さいけど、モデルとしてその辺は結構攻めるタイプなの。」
ししおどりの可愛らしさと、セクシーさのギャップに危うさを感じ、あたふたとするリボンである。
「ダメよ、ししおどりちゃん!可愛いんだからもっと慎まなきゃ!
私がこのラッピングリボンで何とかしてあげるわ!」
ラッピング技術には定評のある彼女は、リボンをとりだすと、ししおどりの胸部にそれをぐるりとまわし、
蝶々結びで留めるのであった。
「これでよー・・・・くないわ・・・。何かさっきよりエロくなった気がするわ・・・。
なんか、エッチなプレゼントみたいになってしまった・・・。リボンが細すぎたかしら。」
「ううん、ありがとう!これはこれで好きよ。ちょっとエロセクシー路線で攻めてみようかしら!」
あたふたするリボンをよそに、ウキウキとモデル事務所に戻るししおどりであった。
事務所では愛人社長に、「背伸びし過ぎよ。」とリボンを外されたが、
改めて今度リボンにまた相談しようと思っている、ちょっとおませなししおどりであった。
つづく
ししおどり
○渾名:ししおどり(南部系or雑系)
○工人:斉藤斉
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花巻駅前の箱崎商店で可愛らしかったので購入しました。
前髪の内に巻いた感じが特徴的な作風に思います。
こけし工人系図では雑系となっていますが、南部系と紹介しているものもあります。
花巻まで行った思い入れもあり、
私は十分南部系こけしだととらえています。
斉藤斉工人ですが、情報が乏しく、
なかなか詳しく調べることができずにおります。
鹿踊の絵も良く描けており、こけし本来の姿の“お土産”としてとても良いと思います。