クラブこけしのママでもある、もっふんママの故郷、蔵王高湯温泉から、
ママの親戚すじにあたるこけし娘が東京に出てきていた。
東京観光にやってきた彼女は、せっかくなのでもっふんママを訪ね、お店に泊めてもらっていたのである。
彼女は名を“大宮ちゃん”と言い、比較的派手な体型・顔立ちの多い蔵王のこけし娘の中にあって、
すらりと長身で、一重まぶたにシンプルなおかっぱ頭をした、素朴で、また性格も素直な娘であった。
もっふんママには故郷では、昔からかわいがってもらっていたという。
大宮ちゃんとナオシ
ある日、大宮ちゃんが観光から戻ってくると、店からナオシ(25話ほか)が飛び出てくるのに出くわした。
例によってナオシは、もっふんママと言い争いををしていたようである。
「ちくしょう、鬼ばばあ!こき使いやがって!やってらんないわ!パルコ行くから!!」
「勝手ばかり言ってんじゃないもふ!あら、大宮ちゃん丁度いいわ。その娘を捕まえるもふ!!」
「はい、もっふんおばさま。」
そう言うと、大宮ちゃんは長身を生かし、ナオシを吊り上げてしまった。
「ああ!こらっ!大宮ちゃん!素直も大概にしなさいよ!」と、ジタバタするナオシである。
それを見ていたもっふんママは、(この娘、今後も使えるわ!)と思い、
大宮ちゃんをお店に留めるべく、一計を案じるのであった。
「ありがとう・・・ゴホッ・・
大宮ちゃん・・・ゴホゴホッ、モフッ・・・。
おばさん、最近体が・・・モフゴホッ・・・。食も細くなったと言うのに、ナオシのおてんばときたら・・・

「うそつけ!ばばあ!!さっきまでうまそうに煎餅食ってたじゃんか!!」
「ゴホッもふゥ・・・ナオシもこんなだし、大宮ちゃん、おばさんを手伝ってくれないかしら・・・」
「わかりました、もっふんおばさま!サポートいたします!」
「だから、大宮ちゃん!素直も大概にしなさいってば!!」
そんなわけで、まんまと大宮ちゃんはクラブこけしの一員となったのである。
彼女の、素直さ、素朴さは他のスタッフはもちろん、
お客さんにも人気があり、もっふんママもしめしめと思っていいるのだった。
時折、大宮ちゃんがもっふんママの体を気遣うと、ママは思い出したかのように、
「ゴホッもふぅ」と、わざとらしく咳をするのであった。
つづく
大宮ちゃん
○渾名:大宮ちゃん(蔵王高湯系)
○工人:大宮正安
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大宮正安工人と言えば、我妻勝之助型も作っていたことで、ご存知の方も多いかと思います。
蔵王高湯系のこけしと言えば、ウヒヒッとした顔立ちをイメージしますが、
このこけしは、物語中にも書きましたが、素朴な、さっぱりした感じが気に入っています。
この一重まぶたのキョトンとした感じは、正安工人の父、大宮安次郎の型なのだと思います。