クラブこけしのオーナーの愛人の経営するモデル事務所に、
「アサイ」というこけし娘が、ここ最近所属するようになった。
彼女は仕事柄オシャレではあるが、比較的流行に流されやすいタイプであり
また、昨今の“女子力”に関しても、定義あやふやなまま、
本人の思う雰囲気で、その向上に邁進しているのであった。
アサイは事務所の先輩であるキナキナ(第17話参照)と同郷のため仲が良くなり、
その日は二人連れだってショッピングをしているのであった。
アサイとキナキナ
ショッピングも一息ついた頃の二人の会話である。
「アサイちゃん、どこかで一休みしようよ。」
「そうですね。じゃあ、カフェめしでもします?オープンカフェでバーニャカウダでも。女子力上がりますよ!」
「バーニャカウダ!?ああ、まあ、普通のカフェで良いわよ。お腹は大丈夫だから。」
「だったら、雑貨カフェにします?白くてカワイイ雑貨に囲まれてお茶が飲めますよ。
もう、恋する雑貨って感じで女子力アップですよ!
「ううん・・・ゆっくりお茶が出来ればそれで良いのだけど・・・」
「あ、もしかして、キナキナ先輩は猫カフェとかそっちの方が良いですか?」
「いや、あの・・・っていうか、アサイちゃん、その併設型のカフェじゃなくても良いのよ。
なんなら、スタバでも良いのよ。

「スタバですか~。女子力的にはトントンですねぇ。せめてアートカフェにいきませんか?
若手の作品を見ながらお茶が出来ますよ!

「うん・・・もうそこで良いわよ。」
かくして、アートカフェなるものに落ち着いた二人である。
テーブルの上には若手アーティストのテキスタイルが恭しく飾ってあった。
雰囲気は悪くもなく、まあまあ落ち着くとも思うキナキナであった。
「どうですキナキナ先輩!アートとお茶と私達!女子力に満ちていますね!!
満足そうなアサイを見ながら、彼女の中の“女子力”の定義がやはり分からないキナキナであった。
つづく
アサイ
○渾名:アサイ(南部系)
○工人:佐々木覚平
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前回に引き続き佐々木覚平工人のこけしです。
このこけしも、ある収集家の方が、工人に依頼し復活させたもののようです。
その胴模様は、詩人立原道造が恋人のアサイさんに送ったと言われている、
者不明の煤孫茂吉工人のこけしと同じ模様をしています。
この
彩の源流がどこにあるかは分かりませんが、
覚平工人の他のこけしと並べたときも、違和感なくとても可愛らしいと思います。
覚平工人のこけしから、なんとなく‘女子力’感じます。