クラブこけし少し前からアルバイトで入ったこけし娘がいた。
名を「おしん」という。彼女は大学に行きたいのだが、家庭の事情もあり、
学費を自分で稼ごうとしている、立派な娘なのである。
贅沢を言わず、着物姿で働く彼女を、他のスタッフも温かく見守っているのであった。
おしんアップ
しかし、その温かさにもスタッフそれぞれに差があり、おしんはその対応に悩まされることもある。
勉学の息抜きにと、雑誌クウネル(マガジンハウス)を執拗に勧めてくるゆさこ
これも息抜きになるからと、執拗にパルコに誘ってくるナオシ(25
頭を使うから、糖分を補給しろと、お菓子やアイスクリームを置いていく、筒(14話)やアイス(29話)。
様々な乳製品をさし入れてくれる巨乳(15話)。
なぜか、男の騙し方をこっそりと教えてくれる茶がま(28話)。
ひいては、学歴社会の虚しさを説いてくるゴヘイ(33話など。
皆それぞれ悪気は無いのであるが、おしんには正直煩わしく思う事もないこともない。
その一方、数学を教えてくれる、計算の得意な会計係(7話)やカニ菊(18話もいれば、
文系の知識豊富な、チーママや店長などは、いろいろ教えてもくれるので、大変に助かってもいる。
そんなこんなではあるが、総合的に考えて、自分はとても恵まれた環境にいるのではないかと、
おしんは思うのであった。
クラブこけしでの社会経験を積みながら、心優しいスタッフにも囲まれることで、
今までは勉強をして良い大学に行けば、何か良い人生が待っていると漠然と思っていたおしんは、
そういった考えに疑問を持つようにもなっていた。
そんなとき、遠くからトキオ(13話)とハセ子(22話)の会話が聞こえてきた。
「トキオ姉さん、やっぱり小野妹子ってツンデレだったのかしら。」
「そうねぇ、妹キャラなんだから、きっとそうだったんじゃないかしら。」
それを聞いて、おしんは、やはり勉学は大事だと思いなおすのであった。
つづく
おしん
○渾名:おしん(南部系)
○工人:佐々木覚平
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佐々木覚平工人の型としては珍しい胴をしているのではないでしょうか。
着物姿の、ちょっと目元のキリリとしたタイプのこけしです。
かつて施された胴模様を、ある収集家の方が依頼して復活させたもののようです。
簡素な柄の多い工人の作ですが、このように着物っぽい柄も、
とてもかわいらしいと思います。