大きな風呂敷をかかえて、クラブこけしを訪ねてきたこけしのおばさんがいた。
「こんにちはー。ゆさこちゃん、いるかしらー。」
呼びかけを聞いて、ゆさこが奥から出てきた。
「大沼の小母(おば)さん!どうしたの急に!」
大沼の小母さんとゆさこ
それは、ゆさこが故郷で色々とお世話になっていた小母さんであった。
ゆさこを良く気にかけてくれており、様々な影響を与えたこけしである。
「ちょっと東京スカイツリーの観光に出てきたから、ついでに寄ったのよ。色々お土産もあるのよ。
そう言って風呂敷を広げる小母さんであった。
「まずこれ、裏山で採れた筍よ。沢山採れちゃって、もったいないから持ってきたのよ。
そして、干し柿。小母さん作りすぎちゃって、食べきれないのもったいないから。
あと、たくあんね。これももったいないから、お店ででもだしてね。

「ありがとう、大沼の小母さん。今お茶いれてくるね。」
お茶をいれに行ったゆさこが、暫くして、もっふんママと戻ってきた。
挨拶をするもっふんママ。
「どうも遠くからお疲れ様もふ。ゆさこちゃんはお店でも良くやってくれて助かってるもふよ。
「あら、そうですか。もったいないお言葉ですわ。」
皆で和気あいあいと喋るなか、お茶をすすったもっふんママが思う。
(相変わらず薄くてぬるいお茶もふ)
「ちょっとゆさこちゃん。このお茶じゃお客様に失・・・
「あら、ゆさこちゃん。いい感じの“倹約茶”がはいったじゃない。
お茶なんて色が出ればいいのよ、もったいないしね。

「うん。大沼の小母さんに教わった通り守ってやってるよ。
そのやりとりで、“倹約茶”の出どころを知ったもっふんママである。(倹約茶は第26話参照)
「じゃあ、ゆさこちゃん。小母さんそろそろ行くわね。時間がもったいないわ。
「寄ってくれてありがとう、大沼の小母さん。また来てね。」
「お土産もありがとうございました。皆でいただくもふよ。」
「いいんですよ、もったいなかっただけですから。それでは失礼します。
またもったいなくなったら寄りますね。
そう言って店を去る大沼の小母さんであった。
最後の方は“もったいない”の意味がもう良く分からなかったもっふんママであった。
つづく
大沼の小母さん
○渾名:大沼の小母さん(鳴子系)
○工人:大沼健三郎
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顔の要素が小さめで、まわりが余った感のある岩蔵風のこけしは、
こけしが気になり始めた当初も、いかがなものかと思っていましたが、
今はむしろこの方が好きなくらいです。
胴模様菊も大変華麗に描かれており、品のある感じです。
とある会場で手に入れたのですが、多少シミやにじみせいか500円と破格でした。
肩のびり鉋もすべすべと角がとれており、時代のたった感じが、
気の良いおばさんといったイメージです。