小脇にさくらんぼのたっぷり詰まったタッパーをかかえ、
それをもしゃもしゃと食べながら、ブスブスと呟きながら歩いているこけし娘がいた。
「まったく、私のどこが協調性にかけるのよ!さくらんぼのやけ食いでもしなきゃやってらんないわ!」
彼女は名を“さくらんぼっ娘”という。クラブこけしのオーナーの愛人のモデル事務所の娘である。
社長と協調性について口論となり、クラブこけしで勉強をしてくるよう言われたのであった。
「言いたいことを言って何が悪いのよ。みんな言えばいいのよ。それでこその協調性じゃないの!
このさくらんぼだってみんな控えろとか言うけど、意味が分からないし。
私はいつもこれで自分を高めているのに。自己管理だなんだって、本当はみんな食べたいのかしら。
まったく、奥歯に物の挟まったような言い方して、訳が分からないわ。ああ、着いた。ここか。
こんにちはー。社長に言われて来たんですけどー。誰かいないんですかー。」
出てきたのはたこ少女であった。(たこ少女については第10話参照)

「ああ、あなたね。オーナーから聞いてるわ。あたいが相手するよ。まあお入り。」
そう言ってさくらんぼっ娘を中に入れるが、その間も彼女は不満をさも正当そうにブスブス言っている。
席に着くや、開口一番たこ少女が言う。
「少しは黙りなさいよデブ。アンタ顔がパンパンよ。それの食べすぎじゃないの?
そんな娘、ハマじゃ誰も相手にしないよ。そのタッパーはよこしな。
土産ってことで皆に配るから。いいわね。それが協調性よ。そしてアンタは少し痩せなさい。」
さくらんぼっ娘にとって衝撃であった。今まで自分にここまで強く出た人は初めてである。
しばし呆然とするさくらんぼっ娘であるが、ふと我に返ると、クラブこけしの娘達が、
美味しそうにさくらんぼを皆で食べている。そして口々にお礼や、そのうまさを褒めていた。
それを見て彼女は、はっと何かに思い至り、たこ少女に言う。
「たこ姉さん。私、少しここにいてもいいかしら。何かを学べそうな気がするわ。」
「好きにしな。」
そうして、さくらんぼっ娘はたこ少女指導のもと店にとどまることになった。
その後も相変わらず口数は多いさくらんぼっ娘ではあるが、店ではよく頑張っている。
しかし、たこ少女が度々、客がどこかをさわったと言っては店を飛び出すことについて、
「姉さん・・・協調性は・・・?」
と首をかしげているという。
それをもしゃもしゃと食べながら、ブスブスと呟きながら歩いているこけし娘がいた。
「まったく、私のどこが協調性にかけるのよ!さくらんぼのやけ食いでもしなきゃやってらんないわ!」
彼女は名を“さくらんぼっ娘”という。クラブこけしのオーナーの愛人のモデル事務所の娘である。
社長と協調性について口論となり、クラブこけしで勉強をしてくるよう言われたのであった。
「言いたいことを言って何が悪いのよ。みんな言えばいいのよ。それでこその協調性じゃないの!
このさくらんぼだってみんな控えろとか言うけど、意味が分からないし。
私はいつもこれで自分を高めているのに。自己管理だなんだって、本当はみんな食べたいのかしら。
まったく、奥歯に物の挟まったような言い方して、訳が分からないわ。ああ、着いた。ここか。
こんにちはー。社長に言われて来たんですけどー。誰かいないんですかー。」
出てきたのはたこ少女であった。(たこ少女については第10話参照)

「ああ、あなたね。オーナーから聞いてるわ。あたいが相手するよ。まあお入り。」
そう言ってさくらんぼっ娘を中に入れるが、その間も彼女は不満をさも正当そうにブスブス言っている。
席に着くや、開口一番たこ少女が言う。
「少しは黙りなさいよデブ。アンタ顔がパンパンよ。それの食べすぎじゃないの?
そんな娘、ハマじゃ誰も相手にしないよ。そのタッパーはよこしな。
土産ってことで皆に配るから。いいわね。それが協調性よ。そしてアンタは少し痩せなさい。」
さくらんぼっ娘にとって衝撃であった。今まで自分にここまで強く出た人は初めてである。
しばし呆然とするさくらんぼっ娘であるが、ふと我に返ると、クラブこけしの娘達が、
美味しそうにさくらんぼを皆で食べている。そして口々にお礼や、そのうまさを褒めていた。
それを見て彼女は、はっと何かに思い至り、たこ少女に言う。
「たこ姉さん。私、少しここにいてもいいかしら。何かを学べそうな気がするわ。」
「好きにしな。」
そうして、さくらんぼっ娘はたこ少女指導のもと店にとどまることになった。
その後も相変わらず口数は多いさくらんぼっ娘ではあるが、店ではよく頑張っている。
しかし、たこ少女が度々、客がどこかをさわったと言っては店を飛び出すことについて、
「姉さん・・・協調性は・・・?」
と首をかしげているという。
コメント