クラブこけしのオーナーと愛人(モデル事務所社長)が、とある温泉に旅行に来ていた。
2人は湯あがりに温泉街の土産屋を散策する中で、とあるこけし屋に寄った。
「おお、やはり温泉街のこけし達はめごいのう!」
ウキウキとオーナーこけしを眺めていると、とあるこけし娘が話しかけてきた。
「お湯はいかがでしたか、旦那さま。」
「うむ。濃厚で大変に良いお湯であったよ。しかし、君はおもしろい形をしているのう。」
茶がまアップ
そのこけし娘の頭には茶がまの蓋のような段があり、には取っ手のようなボッチがついている。
もしやそれが開くのではないかと、オーナーはボッチをつまむのであった。
「ひゃうん。旦那さま、そこは・・・」
あまりの色っぽい反応にオーナーがビクッと手を引っ込める。
「何かまずかったかね。」
「いいえ、そういうわけでは・・・。でも、旦那さまのことは忘れません・・・
そう言いながら頬を赤らめる茶がまである。ボッチは何かの感情的スイッチだったのだろうか。
「旦那さまはいつお立ちになるのですか?」
「うむ、明朝には立ってしまうよ。」
「次はいつ来るのですか?東京の話をまた聞かせてください。
「次かね・・・。遠からずまた来るとしよう・・・。」
次に来る予定など立ってはいないのに、そう濁してひとまず店を出るオーナーである。
その夜、旅館でオーナーは茶がまの健気さを思い出し苦悶していた。
横でそれを見ていた愛人がさらりと言う。
「あれ、全部演技よ。買ってもらうための作戦よ。」
「失礼な!何を言う!あの健気な反応を見ていなかったのかね!」
「見てたわよ。だからあれ演技だから。」
「しかし、私はあの娘のボッチをつまんでしまったのだよ・・・。
「だから何なのよ。ボッチ触ったからってどうだっていうのよ。まったく。」
だめだこりゃと愛人は思い、「もう好きにすればいいわ。」といって、風呂に行ってしまった。
翌日、開店一番にこけし屋に戻り、茶がまを買うオーナー。
茶がまは、「旦那さま、信じておりました。うれしゅうございます。」と言って
頬を赤らめているが、そのとき、愛人と茶がまの目が合った。
茶がまはしれっと目をそらし、愛人はチィッと舌打ちをするが、
それには全く気付かないオーナーであった。
つづく
茶がま
○渾名:茶がま(遠刈田系)
○工人:小笠原義雄
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今回の話はほぼ実話が基になっております。
当時小笠原工人のことを全く知らず、このこけしの系統すら良く分かって無かったのですが
その色っぽさに一目ぼれをし、‘
この娘は置いてはいけない思ったのでした。
顔立ちの優しい感じが私のツボだったのです。
これは違いますが、実際頭が蓋になっていて開き、
中に豆こけしが入っているタイプを小笠原工人はよく作っていることも後に分かりました。
そしてボッチは髷だったようですね。
しかし、よく思うのですが、こけしの可愛らしさと、それを生み出した工人のギャップ、
特にそのお歳に、驚かされることが多いです。