クラブこけしのママ、もっふんママがため息をつく。
「もふーぅ。ナオシ(第25話)が来てからというもの、あのおてんばに手間がかかって、
本業がおろそかになったわぁ。なんかもう、めんどくさくなってきたもふ。」
そして、故郷の“もっふん養成組合”に電話をかける。
「もふもふ(モシモシ)、うちのナオシの教育係に、出来の良い娘を一人よこしてほしいもふ。」
組合と話をつけ、ナオシを呼びつけてその旨を話す。
ナオシは新しい教育係と聞いて、またどんな鬼ばばが来るものかと、戦々恐々とするのであった。
こもっふんとナオシ
後日その娘はやってきた。
「こんにちは。こもっふんです。ナオシ姉ちゃんの教育係として来ました。」
それは、もっふんママを小さくしたような、しかしまだ髪上げもしていないような可愛らしい娘だった。
それを見たナオシは、そのあどけなさに安堵し、ニヤニヤしはじめる。
「ハハン!まったく、ドキドキさせるわ。こんなガキンチョだったとわ。はいはいよろしくね~」
それを聞いたこもっふんはムッとふくれあがり、ナオシをつねり上げる。
「イタイイタイ!ちくしょう、お前もそういうタイプか!」
そうなのである。こもっふんは組合でもトップクラスの優等生。
ナオシにしてみれば後輩にあたるものの、しつけは厳しいのである。
「お姉ちゃん、ビシビシいくからね。」
そうして、ナオシの再教育はこもっふんに引き継がれたのである。
ある日、ナオシはこもっふんを籠絡しようと行動に出た。
「こもっふんちゃん!日曜日一緒にパルコいこうよ。」
「だめよお姉ちゃん。その日も稽古の予定よ。」
「固いこといわないでさぁ。シュシュを買ってあげるよ。パルコのシュシュだよ。」
「パルコのシュシュ!!」
「そおだよ~。シュシュだよ。かわいいよ~。東京のオシャレシュシュだよ~。」
「うっ・・・う・・・シュ・・シュ・・・・」
こもっふんがぐらついている。この一門の若い娘はパルコに弱いようである。ナオシはニヤニヤしている。
心の中でナオシが(堕ちたな)と思った時、もっふんママにつねり上げられる。
「イタイイタイ!ちくしょう、あと一息だったのに!」
「もふぅ!まったく、妹分をたぶらかしてけしからんわ。」
ハッと我に帰るこもっふん。
「危なかった。お姉ちゃんの語り口には魔力があるわ。」
こうしてこもっふんの、ナオシ再教育は続いているが、
それでもこもっふんはなんとも憎めないお姉ちゃんを大好きなようである。
つづく
こもっふん
○渾名:こもっふん(蔵王高湯系)
○工人:岡崎幾雄
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豪華な出で立ちの栄治郎型こけしですが、頭の飾りが無いと、
髪上げ前の初々しい娘の様で大変にかわいらしいです。
幾夫工人のキリリとした栄治郎型は、名門の出といった感じの気高さがあり、
直志工人の奔放な感じとはまた違う気品があり大好きです。