クラブこけしは常にフロアレディ募集の張り紙を入り口扉に貼りだしている。
久しぶりにその貼り紙を、風呂敷を背負って見ている、まん丸顔のこけし娘がいた。
名は“ジスケ”。男っぽい名であるが娘である。
募集の貼り紙を見るその目はやる気に満ち満ちていた。
オラ、やるっす。クラブこけしで腕さ磨いて、女帝になるっす。」
そして、彼女は意気揚々と扉を開け入ってくのであった。
(以降、彼女のセリフは子供時代の『おしん』的なテンションでイメージしてください
勝手な方言イメージなので、めちゃくちゃなのはご容赦を)
ジスケアップ
「ごめんなんしょ。旦那様はおいでですか。オラ、面接に来たジスケっす。」
「はいはーい。ちょっと待つもふ。オーナー!一緒に面接するもふよ。
というわけで、もっふんママとオーナーによる面接が始まった。
じゃあ、ざっくり自己紹介してもふ。
「へぇ、おら、ジスケっす。じっちとばっぱには、オラ東京で一華咲かすまで待っててけろ言って
田舎からでてきたのっしゃ。まだ何も分からねえけっど、どうか雇ってくんちぇ。
もっふんママは、ジスケのお国訛りを聞きながら、
(いいわぁ、こういう娘。素朴でしかもハングリーで、嫌いじゃないもふよ。)
と、いたく感動して、うっとりと彼女の話を聞いている。
横でオーナーがもっふんママにボソボソ言ってくる。
ママ、なんかあの唇、ちょびヒゲっぽくない。この娘、有りなのどうなの
そんなオーナーの言を無視し、もっふんママは、引き続き語られるジスケの故郷の話や、
彼女のやる気アピールの方言にもう、うっとりと眼を細めもふもふしている。
(だから、ママ、あの唇なんかヒゲ・・・)
「うるさいもふ!!オーナーは黙ってて!」一喝するもっふんママに、ビクッと黙るオーナーだった。
「ジスケちゃん、あなた採用もふ。はりきってがんばってちょうだい。もふ!
「へぇ!!オラ、頑張るっす!」
それからというもの、ジスケは小回り良く大変良く働いている。
その個性的な口元やしゃべりは、東京では受けが良い様である。
オーナーもその頑張りに、最近はジスケを温かい目で見守っているのだが、
しかしやはりあの唇はちょびヒゲっぽいなあとは思うのであった。
つづく
ジスケ
○渾名:ジスケ(土湯系)
○工人:阿部国敏
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私はこの治助型のこけしの顔が、特に唇の形がちょびヒゲに見えてしまい、
このこけし美人に見えませんでした。
そのため、ビッグネームの型の割にグッと来ていなかったのですが、
入手したこのこけしは、頭がとにかくまん丸で、5寸サイズということも相まって、
やっとのことかわいくらしく見えるようになってきました。
今では日々愛着が増しているので、さすがの型だと思っています。
泥臭い感じがして、作中で方言をしゃべらせましたが、
めちゃくちゃなので、雰囲気だけであとはスルーしてください。