青森は十和田のとあるこけし工房にハセ子というこけし娘がいた。
ある日、ハセ子のもとに手紙が届く。
以前、“私は東京でメイドになる”といって飛び出していった姉のトキオ(第13話)からであった。
手紙には次のように書いてあった。
“ハセ子ちゃん元気?私は今、念願叶って東京の『クラブこけし』という所でメイドをやっています
スタッフにも恵まれ、充実した毎日です
”云々。
それを読んだハセ子は、うらやましくていてもたってもいられなくなる。
「お姉ちゃん、とうとう乙女の星『
メイド』になったのね!私も東京行く!」
と、これまたふろしき一つで飛び出すのだった。
ハセ子とトキオ
そして、姉同様東京駅まで来たものの、右も左も分からず途方に暮れるのであった。
そこにまたうまいこと通りかかるのがクラブこけしのオーナーである。
おやっとハセ子に目をとめるオーナー。
「最近はこけし娘がよく上京してくるのう。君もうちで働くかね。」と声をかける。
しかしハセ子は警戒心の強いタイプである。
「何なのあなた。さては女衒(ぜげん)ね。女衒野郎ね。私を売り飛ばそうったって、そうはいかなくてよ。」
今どきにしては多少ズレた感性である。
「ひどい言われようだのう。でもその言い回しもまたかわゆいではないか。」
「何さ、気持ち悪い。私は天下のメイドになったトキオ姉さんを探しているの。
女衒野郎には用はなくってよ
それを聞き、ははんと思ったオーナーは強引にハセ子の口を塞ぎ、鞄に突っ込みさらっていくのであった。
「やめなさい!この女衒や・・・ムグ・・・
数十分後、クラブこけしに戻ったオーナーはハセ子を開放する。
「どういうつもりよこの女衒野郎!こんなことお姉ちゃんが許すと思って?」
「ハセ子ちゃん!!」
そこにはニッコリ笑うトキオがいた。
「お姉ちゃん!!」
2人は再会を喜ぶと共に、オーナーの疑いも晴れるのであった。
トキオに「オーナーに謝りなさい。」と言われるハセ子。
そして、「べ、別に全部私が悪いわけじゃないんだからね!でも・・・あ、ありがとう。」
「うむ!」ツンデレ大好きオーナーはニコニコである。
ハセ子もトキオもオタク受けは良い似たものどうしなのである。
つづく
ハセ子
○渾名:ハセ子(鳴子系(外鳴子))
○工人:高瀬時男
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高瀬時男工人が御年82歳の時、長谷川清一工人の型を写したこけしです。
工人の奥さんに聞いたところ、かつて誰かが依頼したものの残りとのことでした。
その時は買わなかったのですが、後になってどうしてもほしくなり、
その旨お手紙にしたためて譲っていただいたもので、思い入れは強い娘です。
2重アゴみたいな線がとてもかわいいと思っています。
また外鳴子系は胴の輪郭曲線が独特でどれも大好きです。