クラブこけしのオフの日、ゆさこは本屋にやってきた。
その日発売の雑誌‘クウネル’を買いに来たのである。
入荷冊数の少ない本屋のため、早めに買わないとすぐになくなてしまう。
雑誌コーナーにやってきたゆさこ、現にその店のラスト1冊となっていた。
「お、あったあった。ほう、“料理の風景”とな。料理はしないけど、癒されそうだわぁ。」
そう言いながら手を伸ばすゆさこ。
と同時に別の伸びてくる手があった。そして、それは同時に雑誌をつかんだ。
こけしの手とは何なのかということは深くは述べないが、
とにかくそういう状況になったのである。
キナキナとゆさこ
クウネルをつかんだもう一人は、シンプルな胴模様をした、あっさりとしたこけし娘で、
名をキナキナといった。
クウネルをつかんだ二人はジワジワと己のもとに雑誌を引き寄せようとする。
ゆさこ「私の方がちょっと早かったかしら。残念だったわねぇ。ウフフ」ぐいぐい
キナキナ「あら、私じゃないかしら。あなたがクウネルを理解するにはまだ早いわよ。オホホ
ぐいぐい
「もうそのシンプルないで立ちが、既に十分クウネルじゃん。もう本読まなくて大丈夫だよ。」
ぐいぐい
「だからそんな私が読むべきなのよ。あっちに‘天然生活’あったわよ。あなたそっちにしなさいよ。」
ぐいぐい
二人とも譲らず、こう着状態となった。
キナキナが考える。
(仕方ないわ、奥の手を使おうかしら。)
そして、その首を少しもちあげ、クラリとさせると、今にも抜けんばかりにプラプラさせた。
「なんと!!」ビクッとして雑誌から手が離れてしまうゆさこ。
「オホホホ!これで私のものね!」
「くぅ・・・。たまげたわ。そんな芸当を持っていたとは・・・」
「ふふ、これでシュウケンちゃん(第8話)もがっかりしないで済むわ。」
「シュウケンちゃん?ということはあなたはモデル事務所の!」
というわけでお互いの素性がしれた二人は、逆に仲良く話し込むのであった。
そして、今後はゆさこ、シュウケン、キナキナでクウネルを回し読みしようということになった。
帰り道でゆさこは、(おもしろいこけしがいるもんだわとおもいながら、
自分の首を、キュッと音を立ててひねってみるのであった。
つづく
キナキナ
○渾名:キナキナ(南部系)
○工人:佐々木覚
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大変状態の良いものを入手できました。
(私のものではないのですが。)
この工人さんもお亡くなりになってしまい、
はたして、もうこの型は途絶えてしまうのでしょうか。
この型に限らず、そういった状況が大変に残念です。
子供の玩具らしさが強く、それだけに古品よりも新品で真っ白い方が
この型にはお似合いだと思うので、本当に残念です。