青森は十和田のとあるこけし小屋に、決意を固めるこけしがいた。
“トキオ”である。彼女は常々思っていた。
(私のこのワンピースの赤の縁取りとお花なんかとても乙女チックだわ。
特にこのツインテール&ツインフリルもとてもかわいいと思う。
こんなフリルが付いてたら、とてもかわいいメイドさんになれるような気がするわ。
東京のアキハバラという所ではメイドさんが大活躍していると聞いているし。
私も東京に行って試してみるわ。名前もトキオだしね。私、メイドさんになるわ!)

そうしてある日、トキオはとうとう東京にまで出てきてしまった。
東京駅まで来たものの、さてアキハバラはどこかと思案している。
そこにあまりに偶然にも通りかかるクラブこけしのオーナー。
トキオが訪ねてきた。
「あの、アキハバラというのはどこですか。メイドさんが活躍している所なのです。
トキオをしばし眺め、にんまりするオーナー。
ほほう、かわゆいこけしさんではないか。メイドになりたいのかね。うちでもなれるよ。
「本当ですか!」
あまりのかわいさに、犯罪めいた出まかせを言うオーナー。
そして、トキオをつれてクラブこけしに帰ってきた。
もっふんママに説明をするオーナーだが、
「もふっ!!オーナー!!うちはメイド喫茶じゃないのよ!まったくもふ!!
縮こまるオーナー。トキオがオロオロしている。しかしそれをみたママは
「もふぅ、でもこんなオーナーごときについてくる娘が、ふらふら秋葉原なんか行ったら、
なにが起きるもんか気が気じゃないわね。最近の秋葉原はこわいからねぇ・・・
あなた、トキオちゃん?せっかくだからうちで働きなさい。まあ、メイドみたいなものよ。

「だから言ったではないか。」一転大きく出るオーナー。
「いいんですか!わたし立派なメイドになります!!」
「頑張りたまへ!」ニコニコのオーナーである。
ため息をつくもっふんママ(もふーぅ・・・オーナーの好みってなんか浅はかだわぁ)
つづく
トキオ
○渾名:トキオ(鳴子系(外鳴子))
○工人:高瀬時男
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高瀬時男工人は昨年お亡くなりになっており、まだこけしは残っているのか?
とはらはらしながら十和田の高瀬商店に行きましたが、結果大満足でした。
奥様にはこけし工房にもご案内いただき、しみじみと感謝でした。
奥様曰く、胴模様の花は、つぼみ~ちょい咲き~満開と人生を表しているとのことでした。
それがこんなストーリーになり、なんだかおはずかしいです。
とにかく、このこけしがほしくて十和田まで行くほど好きだったということでご容赦ください。