カランコロン、「こんにちわ、ママいる?」
クラブこけしに来たのは、蝶の羽のような合せの服を着た、仏様のように涼しい目元の凛とした娘である。
「もふ、あら、ゆき子ちゃん。久しぶりじゃない。どうしたのよ今日は。
「色々買い物をしてて、近くまで来たから寄ってみたの。
彼女は“ゆき子”。オーナーの愛人の経営するモデル事務所所属の看板モデルである。
クラブこけし草創期に、その成り行きをハラハラしながら見守っていた一人でもある。
かつてもっふんママチーママにならないかと誘ったこともあった。
「今日はママや皆にお土産があるのよ。ゆさちゃんとボクちゃんと下駄ちゃんいもるかしら。」
もっふんママに呼ばれ、ゆさことボクッ娘もやってきた。下駄番は買い出し中だった。
ゆき子とみんな
ゆさこ「ああ、ゆき子ねえちゃん。いらっしゃい。」
ボクッ「こんにちは」
ゆき子「二人にお土産よ。はい、ゆさちゃんには‘クウネル’のバックナンバー!
ゆさこ「わお!蔓バック特集!やっぱアケビ蔓はいいわぁ。」小躍りするゆさこ。
ゆき子「で、ボクちゃんには女を上げるアンティークのブローチ。」
ボクッ娘「あんてーく!!お、おされアイテム!・・・どうもありがとう!
ゆき子「下駄ちゃんにはこの乳液パックを渡しといてね。肌があれるとか言ってたから。
そしてママには、これ!ストール!縮毛加工であったかよ。
もっふんママ「いつも悪いわねぇ。ゆき子ちゃんのセレクトは
ほんとセンスが良くて、もうもふもふだわ。」
褒め言葉が独特なママ。
「ところであなた、まだうちで働いてくれる気はないの?すぐに売れっ子よ。」
「だめよママ。私は社長と頑張ろうと誓い合ったの。仁義は大事なのよ。」
「もふぅ、残念だわぁ。」
「じゃあ、ママまた来るね。ゆさちゃんとボクちゃんもまたね。」
颯爽と去って行ったゆき子。
アンティークブローチを眺め、ニヤニヤしていたボクッ娘が、
(はっ!付けこなし方を聞き忘れた。こっそり今度教わろうっと
と、オシャレに目覚めつつあるのはゆき子のおかげである。
つづく
ゆき子
○渾名:ゆき子(弥治郎系)
○工人:井上ゆき子
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渾名がそのままですいません。今後もこんな娘ちょくちょく出ます。
仏目とは良く言ったもので、それだけ神々しく下手な渾名が付かないということでしょうか。
しかしこの蝶は模様なのか着物なのか?絶妙なデザインです。
腰のラインもデザイン性が高く、これを着こなすこの娘はやはりお洒落さんです。
井上ゆき子工人のサインである背中のトンボも可愛らしいです。