今日はクラブこけしのオフ日。
ゆさこは呑気に雑誌“クウネル”(マガジンハウス)を寝ころんで読んでいる。
「ふん、ふ~ん♪ やっぱ布はいいわぁ。」
クラブこけしの言いだしっぺであるが、他のこけしが頑張ってくれるため、
最近はその自覚を忘れつつあるゆさこであった。
そのとき、
「ゆさこちゃーん」
「ん?空耳か・・・。ふ~ん♪柿渋染めもいいわぁ」
「ゆさこちゃん!!」
「んん?はうぁっ!!」
すぐ隣にシュウケンがいた。
シュウケンとゆさこ
シュウケンはゆさこの同郷の友達で、オーナーの愛人が営むモデル事務所に所属している。
ゆさこのところに久しぶりに遊びに来たようである。
しかしながらその繊細なムードと小声のため、その存在に気づけないことがゆさこにはたまにあった。
「シュウケンちゃんじゃない。超びっくりしたよ。あいかわらず・・・って、
どうしたの!?昔もっと胴黄色かったよね!?」
「うーん、そうなの。なんか色がどんどん抜けていくの。東京の紫外線のせいかしら。でも元気だよ。」
「マイケルジャクソンか!で、そっちはどうなの。」
「うん。社長も良い人で、オシャレな友達もふえたよ。さすがにみんな個性派ぞろいだけどね。」
「そんな生き馬の目を抜くような世界で、シュウケンちゃんみたいのが大丈夫なの?」
「私は芯は強いの。なんて言っても家柄が良いしね(笑)。ゆさこちゃんもクラブとか言い出した時はあせったよ。でも大丈夫そうだね。」
「えー、あー、うん。快進撃だよ。」
しどろもどろに最近の怠慢を反省したゆさこ。
この後も二人はなかよく“クウネル”を読むのだった。
「布はいいわねぇ。」「だねぇ。」
つづく
シュウケン
○渾名:シュウケン(鳴子系)
○工人:大沼秀顕
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鳴子温泉に行き、工人のお店で手に入れた“シュウケン”ですが、
当時(10カ月前)は、胴の黄色はもっと鮮やかだったのです。
久しぶりに見たら、別物のような色の抜け方。果たして歯止めはかかるのか?
以前まですべて同じ顔に見えていた鳴子のこけしですが、
最近それなりに見分けがつくようになり始めました。
そうなると、かつて何も見えていなかったと言っても過言でない鳴子温泉旅行が悔やまれます。