クラブこけしのメンバーも増え、営業も軌道に乗ってくると、経理面もそれなりに煩雑となってくる。
しかしながらそういった方面に明るい者がお店にはまだいない。
オーナーもどんぶり勘定のくせにケチケチするので、
もっふんママもよく「やりづらいわぁ」と言っている。

そんな状況の中、とあるこけし屋に来ていたオーナーが、とあるこけしに目を止めた。
そのこけしは、さながら理系美人といった顔立ちと、整然と梅の花の並んだ身なりをしていた。
オーナーが話しかける。
「ちょっと君にお尋ねするが、経理は得意かね。」
「はい。大分得意ですが。あなたはお見受けするところどんぶりタイプですね。」
鋭い娘である。
そこでオーナーはクラブこけしの事、現状や今後の展望を例によって気分だけで話し始めた。
こけしはまるで顧問会計士のように、そこでの問題点や的確な意見を、ツン毛をツンツンさせながら、
経理面からアドバイスをしてくれた。気分が乗るとツン毛がツンツンするらしい。
ツン毛
しかし、根っからそういったことの苦手なオーナーは、
それらアドバイスが右から左へ抜けているのが、そのキョトンとした顔にありありと表れている。
こけしは(ぬかに釘だったか・・・)と思い、ツン毛がだらりと下がる。
しかしオーナー「良くわかった!君、うちの店で働きなさい。会計係よろぴくね!」と言い放つ。
何もわかって無かろうが!とこけしは思いつつも、オーナーの話を聞く限りお店は面白そうであるし、
この人では経理的にマズいとも思っていた。
「わかりました。会計係やりましょう。腕がなるわね。」
そういいつつ、再びツン毛をツンツンさせる会計係であった。
つづく
会計係
渾名:会計係(山形系)
工人:小林誠太郎
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このこけしを見るまで、私は「ツン毛」なるものの存在を知らず、
「この工人、顔の正面の取り方間違えて毛を描きすぎたけど、エイヤで売りやがったな。」
と本気で思っていました。失礼しました。
ツン毛とは、赤ん坊のうなじの毛のそり残しで、
ピンチの時は神様がそれをつかんで救い出してくれるとか。
有りがたいものだったのですね。
しかしその語呂から、なんだかツンツンしているイメージが未だに私にはあります。
何はともあれ、とても理知的な印象を受けたこけしでした。あやかりたいです。