クラブこけしが仕切り直しオープンをした頃、秋田のとある町での母娘のやりとり。

母「あなた、いつもそんなつまらなそうな顔して。
もう年頃なんだからもうちょっと愛想良くなさいよ。母さんご近所に恥ずかしいわぁ」
娘「うるさいなぁ。そんなのボクの勝手じゃない。」
そうである。ボクッ娘である。
「お母さんだってそんなバブル時の偽バレンチノみたいなセーターで外をうろうろしないでよ。
なんか松方弘樹みたいでこっちが恥ずかしいよ。」
「失礼な子ね。これはアール・デコと言って、高尚なデザインなのよ。
この髪型だってそれに合せているのよ。」

言い合いがひとしきり続いた後、母が本題を切りだした。
ボクッ娘と母
「そういうわけで、母さんはあなたをもっと女らしくするべく修行に出します。」
「ええっ!勝手な!!ボクは嫌だからね!」
「もう頼んでしまいました。東京にもっふんママという母さんの古くからの友人がいてね、
新店で人がほしいと言うので、あなたを頼むと言っておきました。」
「ボクがなぜそんな目に!しかも東京なんて恐ろしい。」
「心配しなさんな。母さんも東京に行きます。母さんのこのファッションセンスが見込まれて、
東京のモデル事務所に所属することになりました。」
「えええっ!!!」
「なにか異論はあって?あれば悉く却下よ。」
唖然とするボクッ娘の表情が徐々に諦めに変わる。
母は言いだすと聞かない。

こうして上京した母娘。
ボクッ娘はオーナーの経営するクラブこけしに、
母はオーナーの愛人の経営するモデル事務所に所属することになるのでした。
つづく
ボクッ娘
○渾名:ボクッ娘(木地山系)
○工人:阿部市五郎
バレンチノ母
○渾名:アールデコ(木地山系)
○工人:三春文雄
=====================
三春文雄工人の樋渡治一型ですが、横縞ではなくV型です。
おかげで私にはダサめのセーターに見えるのですが、
「アールデコだ」と言い張る意見もあり、そちらがあだ名になりました。
阿部市五郎工人の方は柴田鉄蔵型と裏書きがあります。
着物を着た感じがその特徴でしょうか。
どちらもジワジワと伝わってくるものがあります。
ちなみに物語中でモデル事務所所属となるこけしは
私の所蔵品ではなく、第1話で「オーナー」と温泉旅行をしていた「愛人」のものです(*゚ー゚)>