こけしブログ クラブこけし物語

クラブこけし物語と題したストーリーによって 所有するこけしを紹介

クラブこけしオーナー愛人が経営するこけしモデル事務所の梅子(店外149他)は、
その春茨城観光を計画をしていた。梅模様が自慢の彼女の満を持しての偕楽園観光である。
この話を聞いたクラブこけしに居座り中の円子(店外181他)は、
彼女のお付きのこけし娘“ノボ”と“トミ”にこの旅行への同行を勧めた。
二人は大いに喜んだ。小柄な二人の胴にも、それぞれ梅があしらわれている。
日頃のお付き仕事への計らいでもあるらしいが、そう言う円子の笑みは意味深であった。
ともあれ、主の目を離れ、のびのび旅行が満喫できると二人は円子の提案を快諾し、
かくしてその日は訪れ、春の偕楽園には梅子、ノボ、トミの3人の姿があった。
偕楽園
「素敵!満開じゃない!私達にぴったりよね。二人ともそう思うでしょ!」
「ハイ!梅子姉さん!」
「しかしまだ四月初めなに暑いわね。ノボだっけトミだっけ?お茶買ってきてよ!」
「ハイ!梅子姉さん!」
大先輩の梅子を前に、結局ノボとトミは円子に対すると同様の付き人状態であった。
「あの、梅子姉さん。もしかして私達の名前と区別がついていないのでは・・・」
「だって二人とも大きさとか模様とか似てるんだもん。そうだ!もうコウメでいい?
あなたがコウメ1で、あなたはコウメ2。はい決定!梅は最高ねコウメ!」
梅子に押し切られ、ノボとトミ改めてコウメ1・2となった二人。
梅子に悪意はないと思うものの、彼女らの主、円子よりも質が悪いと感じていた。
「そうだコウメ、舞ってよ。梅を背景に優雅にね。」
「ええっ舞い?!なんと急な無茶ぶり!舞いなんててやったことないですよ!」
「いいのいいの雰囲気で。細かいこと言わないわよ。」
梅子の無茶ぶりに追い詰められたノボとトミは腹決める。コウメと言えばあれしかない!
「♪チャン、チャカチャンチャン、チャチャンチャ、チャンチャン、
気楽に旅行ができると思ったら〜♪いつも通りコキ使われました〜♪チッキショ〜!!」
コウメ太夫のネタをパクっただけだが、上機嫌の梅子には爆受けであったという。
つづく
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梅の聖地(?)偕楽園に、満を持して梅模様のこけし達と来ることができました。
やはり大野栄治の梅こけしと梅の花の共演には貫禄が漂います。
東京暮らしなのですが、同じ関東でも割と知らない茨城県。
今回良い時期に各所巡ってまいりましたので、一部ですがご紹介していきます。

ある日、クラブこけしのバイト青年行き倒れ(店外35他)の姉“嵐子”が店を訪ねてきた。
黒目になることを夢見て日々励む弟の激励と言うが、単に東京観光のついでである。
嵐子と行き倒れ
「しかし渋谷も様変わりしたわね。どう元気?ちょっとは目に色ついてきた?」
「この物価高に東京観光ですか。嵐子姉さんはいつもお気楽でいいですね。」
「あんたまだ全然白目じゃない。ちょっとまだ苦労がたりないんじゃない?」
「ぼ、僕は日々努力してますよ。姉さんこそ何の苦労もしてないじゃないですか。」
「ムッ、言ったわね。あんた私や父さんが過去にどれだけ苦労したか知らないの?」
「何だって言うんですか?」
「いい機会だからよく聞きなさい。昭和の暮れに父さんが私を生んだ時ね、
そりゃあ意気揚々よ。山形テレビに『新鶴岡こけし』だって紹介されちゃったりしてね。」
「羨ましい話じゃないですか。どこが苦労なんですか。」
「問題はここからよ。山形こけし会から‘そんなの伝統じゃない!’ってケチがついてね。
ちゃんと伝統工人のもとで修行しなきゃ認めないっていうのよ!」
「そうなんですか!?なかなか世知辛い話ですね・・・。」
「それから父さん苦労したわよ。誰も弟子にとってくれないってんだから。
で、困り果てて身延山に願をかけたわけよ。日蓮宗の総本山ね。そしたら何と!!」
「ど、どうなったんですか?!」
「青森の大鰐温泉の間宮正男工人から弟子にしてもいいって声がかかったのよ!」
「へー!はるほど、それで今の僕が生まれたと言うわけなんですね。」
「そう。だからあんたも父さんを見習ってもっと苦労しなさいってことよ。」
「話はよくわかりました。けどそれって嵐子姉さんの努力じゃないですよね。」
「あんた、もう許さないわよ、南無妙法蓮華経〜南無妙法蓮華経・・・」
「な、何ですか姉さん突然法華経なんか唱えだして。」
「今あんたの黒目修行リセットしたから。またゼロから徳を積み直しなさい。」
「えええっ!嵐子姉さん非道い!!」
無論嵐子にそんな力は無いが、父の不思議な話もあり、大層落ち込んだ行き倒れであった。
つづく
嵐子
○渾名:嵐子(津軽系(なのかな?本人型))
○工人:五十嵐嘉行
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おぼちゃ園さんのブログ「017: 五十嵐嘉行 ①」をガッツリ引用してしまいました。
嵐子の作風があまりに津軽(間宮家の型)らしくないので、来歴を調べたところ、
な〜るほどと、おぼちゃ園さんには感謝でございます。
師となった間宮家には、五十嵐氏が願をかけた日蓮宗の仏壇があったとの話も。
何とも不思議な話です。

「皆々様、アタイ等の豪徳寺リサイタルへの遥々のお越し、誠に感謝いたしやす。」
「ニャー!ニャー!」のど自慢の挨拶に湧き上がる大勢の猫の鳴き声。
豪徳寺
ここは世田谷の豪徳寺。大量の招き猫が奉納されている光景で有名な寺である。
やってきたのはクラブこけしの出入り歌手“のど自慢”と“コーラス”(店外154他)。
豪徳寺公演はのど自慢の企画であり、コーラスは詳細を知らぬままついてきた形である。
「なになに待ちくたびれたって?何を仰る。今宵はこれからでござんすよ。」
猫達の歓声に平然と答えるのど自慢に、コーラスが驚きつつ問う。
「ニャーニャーしか聞こえないけど、のど自慢ちゃん、何て言ってるか分かるの?」
「おっとコーラスちゃんは初耳でしたかい?実はアタイ猫語が分かるんですよ。」
「そうなの?!確かにのど自慢ちゃん猫っぽい顔してるなぁとは思っていたけど。」
「おかげさまでアタイ、猫人気はあって今日の運びとなった訳でございやす。」
相棒のまだ知らぬ一面に感心したコーラス。かくしてリサイタルは始まった。
「では本日は皆様のお気に入り猫ソング、時間の許すままご堪能あれ!」
「ニャー!!」
ぶっつけ本番のコーラスは心構えを固めつつ、のど自慢の選曲に思いを巡らす。
猫ソングと言えば近年ならDISHの歌う『猫』か、はたまた『黒猫のタンゴ』か。
何が来ても美しくハモる自信をコーラスはみなぎらせていった。
「では一曲目、『兄弟船』!行きやす!」
「ええっ!兄弟船?!どこが猫ソング!?」予想が完全に外れ慌てるコーラス。
「♪ニャみの〜谷間に、命のはニャぁが〜、ふたつニャらんでぇ咲いている〜♪」
「あ、そういうこと?それでいいの?!」コーラスの戸惑いに反し大盛り上がりの猫達。
『な』→『ニャ』の変換が猫達には受ける様で、自然と『な』の多い選曲となっていた。
「お次は皆さんお待ちかね、DJ OZUMAのアゲ♂アゲ♂EVERY☆騎士!いきやすよ!」
当該曲中『Na』→『ニャ』の変換でリサイタルは最高潮に達したという。
「♪ニャーニャーニャニャニャ ニャニャニャ ニャニャニャ♪
♪ニャーニャーニャニャニャ バンスミバーン♪」
つづく
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所有するこけしの中でトップオブ猫顔だと思っているのがこの"のど自慢"です。
山形系全体にそんなムードはあるのですが、奥山広三の作に一番猫感があります。
豪徳寺の招き猫、こけしが埋もれて分からない程、圧巻の量でした。
猫ソングって多い様で有名なのは少ないような、良く知らないだけかもです。

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