こけしブログ クラブこけし物語

クラブこけし物語と題したストーリーによって 所有するこけしを紹介

ある晴れた春の日、鎌倉の由比ヶ浜海岸にてクラブこけしのこけし娘、
カニ菊(店外編38他)とシダ子(140話)がのんびりと海を眺めていた。
由比ヶ浜
「天気も良いし広々してるし、何だか気持ちの良い日ねシダ子ちゃん。」
「そうねカニ菊ちゃん。まだシーズン前だし、昨今の騒動で人出も少ないのね。」
「これだけの砂浜だし、久々にアレでもやってみようか。」
そう言うとカニ菊は近くに落ちていた流木を拾う。山崩しをやろうと思ってである。
「あ、アレね。良いわね。じゃあその棒私に貸して。」
シダ子は流木で砂に大きく『王』の様な模様を書いた。
「ちょっと待ってシダ子ちゃん、何この『王』の字は?」
「え?何ってウンモ星人のマークよ。これから呼ぶんでしょ?」
「ウンモ星人!?呼ぶ??」
どうやらシダ子は広い砂浜をUFOとのコンタクトに適した場と捉えたようである。
「ちょっとシダ子ちゃん、なんでアレがこれなのよ!意味がわからないわ。」
「良いからカニ菊ちゃんも付き合ってよ!もしかしたら本当に呼べるかもしれないし。」
「いやよ莫迦々ゝしい。そんなことより江ノ電の20形見に行こうよ。かっこいいわよ。」
「それも結局自分の話じゃない。まず私に付き合ってくれたらそっちも付き合うわよ。」
返す言葉に詰まり、渋々とシダ子に付き合うことにしたカニ菊。
「し、仕方ないわ。じゃあ何をすればいいの。」
「私と手をつないで、私の言うとおり後から追って言ってね。行くわよ。
『ベントラー、ベントラー、スペースピープル!』はい続けて!」
「無理!何なのよそれ!」
「何って宇宙友好協会が認めたUFOコンタクトの掛け声よ!
言わなきゃ江ノ電見るのも付き合わないわよ。」
「うっ・・・べ、ベントラー、ベントラー、スペースピープル、なんか屈辱!」
もちろんUFOは現れなかったが、それぞれ思い出深い一日になったという。
非科学的な事を認めないカニ菊とオカルト好きのシダ子、凸凹感は逆に相性が良いらしい。
つづく
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ノストラダムスやUFO、雪男、ネッシー、冝保愛子、等々、
この辺には大層胸をときめかせた少年時代を送ったものです。
おかげでどうでもいい知識が残り、ふとした時に蘇ってきます。
まさかそんな思い出がこけしと融合するとは思いもしませんでしたが。

ある日のこと、クラブこけしオーナーの愛人が営むこけしのモデル事務所では、
“清見”(本編148話)と友人の“コバナ”が何となしの会話をしていた。
コバナと清見
「あー、目がシバシバする、ブタクサかしら。ホント年がら年中アレルギーだわ。」
アレルギー体質の清美はその日も目と眉毛をしかめている。
「清美ちゃんはいつも大変そうよね。同情しちゃうわ。」
相槌をうつコバナだが、コンパクトを眺めながらのその言葉に同情味はさほどない。
「もうコバナちゃんコンパクトばっか見て。自分の小鼻が余程気に入っているのね。
でも私の話にももっと共感してほしいわよまったく。」
「あ、ごめんごめん。でも別にそんな小鼻ばっかり見てるわけじゃないんだから。」
「そうなの?別にどうでもいいんだけど・・・ってちょっと待った!!」
久しぶりにコバナの顔をマジマジと見た清美はあることに気が付く。
「コバナちゃん!そんなまつ毛あったっけ?!」
「あ、やっと気がついてくれた?ちょっとやってみたの。まつエクってやつ!」
「まつ毛エクステンション?!」
コバナの目元はまつ毛によって、この数日来パッチリとしていのだが、
目がシバシバしていた清美にはよく見えておらず、遅まきながら気づいた次第であった。
「どう?可愛くなったかしら?」
「でもまつエクって色々健康被害の噂も聞くし、何だか心配だわ。」
「清美ちゃんを見て、私もまつ毛でもつけてみようかしらって思ったのよ!」
「そうなの?」
「清美ちゃんみたく眉毛とか目元にひと癖あったほうが、なんか魅惑的というか・・・」
「あ、あらそう?私魅惑的?そうね・・コバナちゃんもその小鼻と
まつ毛が相まって繊細な顔立ちになっているわよ!いいんじゃない?」
褒められて悪い気がしなかった清見はコバナのまつ毛を褒めに転じた。
単にまつエクに興味があっただけのコバナだが、お互い気分の良い会話となった。
つづく
コバナ
○渾名:コバナ(弥治郎系)

○工人:井上ゆき子
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井上ゆき子さんの少寸物ですがその表情は大変繊細に描かれています。
撥鼻は単純な線というよりも小鼻っぽく描かれており、結構生々しい表情と感じます。
そしてこれまた繊細な表現のまつ毛。化粧っ化漂う存在感があります。
女性工人さんの作ということで、何だか納得です。

6月某日、クラブこけしに元気な掛け声とともにやって来る小さなこけし娘がいた。
娘は胴にこれも小さなダルマを携えており、そのダルマも高揚した様子である。
「タッピオカ!タッピオカ!モガちゃ〜ん、いる〜?遊びに来たよ!」娘が言う。
「東京2020!東京2020!ダルマ犬よ!元気にしておるか!」ダルマも店内に呼びかける。
どうやら先日店にやってきたモガとダルマ犬(149話)を訪ねてきたようである。
声を聞きつけ、モガとダルマ犬が顔を出す。
コシンヤとモガ
「あら!コシンヤ姉さんとコダルマさん!」急な来訪にモガは驚く。
「ダルマ犬の修行の陣中見舞いじゃよ!」胴のダルマが言う。
「そ、それは恐れ入りますコダルマ兄さん。」ダルマ犬は恐縮している。
「っていうのは建前!タピってるモガちゃん?さあ、私もタピりに行くわよ!」
「コシンヤ姉さん、“タピる”って、タピオカのこと?よね・・・。」微妙な反応のモガ。
「コロナの移動自粛も解禁で、東京も熱気再燃なのでであろう、のうダルマ犬よ!」
そう言いコダルマは『東京2020』と書かれた旗を振り始める。
「コダルマ兄さん・・・一体どこの情報源を元に・・・?」ダルマ犬も困惑する。
「私達もう自粛ストレスでウズウズしてるの。早くタピオカミルクティーを手に、
東京2020の熱気に溶け込みたいの。さあモガちゃん、熱気渦巻く東京にレッツゴーよ!」
コシンヤの勢いに押され、モガは腹をくくったかのように彼女を連れ東京観光に出かけた。
半日後、意気消沈したコシンヤとコダルマがモガと共に店に戻ってきた。
「やはりでしたか・・・」ダルマ犬が察する。
「ねえ、モガちゃん、誰もタピってなかったよ!?それに2020はどうしたの?」
「コシンヤ姉さん・・・このコロナでタピオカブームはもう去ったっぽいのよ。
あと、東京2020の予定はまだ立ってないから。ちゃんとニュースを見て下さい。」
「えっ!そうなの?!私は認めないわ。コダルマ爺、東京でもう少し様子見よ!」
「そうですな、お嬢。ちょっとタイミングが早かっただけでしょうな!」
ポジティブな二人にため息をついたモガとダルマ犬であった。
つづく
コシンヤ
○渾名:コシンヤ(とコダルマ)(蔵王高湯系)

○工人:阿部進
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阿部進也工人の作にも、この津軽風のダルマ付きタイプをがあったのですね。
小さいのに例によってユーモラスなダルマもよく出来ていて元気一杯ですね。
昨年流行語候補に
なった“タピる”ですが、なんとなくブームも去った気配です。
プリプリしてて美味しいし、夏に向けてまた流行るのかもですね。

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